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「ブラック★ロックシューター」:生きるということは「イノセント」から脱却するための戦いなのだ [タイトル:ハ行]

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ブラック★ロックシューターは、ボカロとニコ動が連動して作り出した新しいカルチャー・ゾーンから出てきた、ひとつの「現象」である。

その起点は、hukeというイラストレータが2007年に発表していたキャラクターイラストだった。






supercellのryoがこのキャラクターに着想を得てボーカロイド(音声合成ソフト)「初音ミク」を用いた曲を作った。

それを観たhuke自身が映像を付けて2008年に『初音ミクがオリジナルを歌ってくれたよブラック★ロックシューター』として動画投稿サイトニコニコ動画で発表。



この時点から「現象」は社会に奔流した。

まずはOVA。

そしてそのOVAを原作とするTVアニメーションがノイタミナ枠で放送され、ゲーム化、コミカライズと広がっていった。

今回はそのTVアニメーションシリーズをDVDにて視聴。





このアニメ作品にも、二次元世界でおそらく最もメジャーな苗字である「小鳥遊」(たかなし)さんが登場する。

(また小鳥遊か!)と正直思う。

いささか食傷気味だが、本作ではこの苗字の特殊性を、主人公黒衣マトに(小鳥が遊ぶということは鷹がいないということ、という字解きを聞いて)「わあ、アッタマ良さそうな名前!」と叫ばせることで正当化している。

本作はそれだけでなく、出灰(いずりは)という特殊苗字も登場させており、アニメ関係者の苗字探しの情熱には頭がさがる。



で、その小鳥遊ヨミさん、幼いころの事故をきっかけに負った心の傷をこじらせた幼馴染の出灰カガリに行動や交友関係を監視・束縛され続けている。




その束縛に抗うように、中学校で知り合って苗字のことやお互いに同じ絵本が好きであったことで親しくなった黒衣マトと本当の友達になりたいと願うが、黒衣マトと親友の神足ユウとの間柄に嫉妬してしまう。




物語はそのような現実世界での少女たちの傷付きやすい心のすれ違いを描くが、その幕間に「虚の世界(裏世界)」での、ブラック★ロックシューターと何者かによる言葉も無い戦いのシーンが挿入される。




そしてその裏世界こそは、少女たちの傷付きやすい心の自浄作用だったのだ。



だからこの物語の主題は、心という世界で起こっている「殺戮」と現実の「成長」との関係にあるとみるべきだ。





発達心理学に「イノセント」という言葉がある。

純真とか無垢といった訳語のイメージとは裏腹に「親を否定したい」という気持ちの青年期の心象を意味している。

「親」は「子供」にとって、受動性(有限性)の最大の徴表といえる。

「子供」というものは、どんなに自立して「自我」を形成したのだとしても、「親」を選ぶことだけはできない。だから自我の自立性は親の存在を前にしていつも相対化されてしまう。

だから「なぜ自分はこんな親の元に生まれたんだ」と親を拒絶する。

逆に言えば、いつも“純粋な自分”があると信じ続けている。

あるいは純粋な、汚れなき自分になり続けようとする。

この状態が「イノセント」。

そしてこの状態を脱して、自己に起こるすべての事象を「自分のこと」として受け入れるようになれることを「大人になる」というのだ。



ブラック★ロックシューターの裏世界での無慈悲な殺戮は、このイノセントの希求に他ならない。

他者との関係の中で、ほとんどのことは思うに任せない。

それが他者の責任だと思えば、その傷は癒えず、楽になりたければ「殺す」しかない。

裏世界のアバターは、自分の代わりに痛みを引き受けてくれている。

耐え切れない大きさになったらブラック★ロックシューターがやってきて殺してくれる。



しかし戦いの果てに、頼り続けてはいけないのだ、自分の心を守るために自分の代わりに戦ってくれる人は実際にはいないのだ、と彼女たちは知る。

それこそが、成長だ。



生きにくい時代だとは思う。

しかしこんな時代だからこそ、いろんなことを他者の所為にしていないで、自分の痛みとして引き受ける覚悟が大事なのだと、この物語は教えてくれている。

僕らのためのブラック★ロックシューターは現実世界にはいないのだ。


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