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「サカサマのパテマ」のドラマツルギー [タイトル:サ行]

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「イヴの時間 Are you enjoying the time of EVE ?」の吉浦康裕監督が撮った「サカサマのパテマ」を観る。



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新海誠さんの「星を追う子ども」もそうだったが、若手の監督さんは異世界を舞台にしてしまうとどうしても宮﨑駿の劣化コピーっぽくなってしまう。アニメというフォーマットであの想像力を飛び越えていくのは難しいことなのかもしれない。



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姫、じい、ときて人類の過去の過ちという設定ならば、どうしたってナウシカをイメージしないわけにはいかない。

プラス異世界の少年と<地下>に潜ったり<空>を飛んだりするからラピュタ要素も入ってるね。



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「サカサマのパテマ」の世界で、巨神兵の替わりに世界を滅ぼしかけたのは、エネルギー政策であった。

重力をエネルギー化する、という設定は実に筋がいい。

重力は質量に呼応するもので、質量はエネルギーに変換できるものだからだ。

そしてそのための実験の失敗から引き起こされた事故で、重力の反転が起こった。

事故の反省から、小さな管理社会を作り独裁者が自由のない社会を構築している、という話。



設定はいいと思う。

しかし、吉浦監督、「イブ」に続いて、今回も設定の良さを活かす「尺」を確保できなかったようだ。



例えば、パテマと異世界アイガ(=ガイアの逆さ綴り)の少年エイジの距離が縮まるのは「星が綺麗だった」からだった。

それなのに、<落下>して人工照明装置に辿り着いた時、今まで見ていたのが、星でも太陽でもなかったことに気が付かなかった、という方が無理があるでしょう。

そしてこれが隠された真相への最大のヒント。

なのに、そこから謎解きのシークエンスは発動せず、ひたすら偶然を積み重ねて二人は真相に向かって<落ちて>いく。



そしてその真相だって、現象としては見てわかるけれど、経緯は本当に一言しか語られない。

そういえば、「イブ」の不満なところも、一番面白そうなロボットと人間の関係史がたった数分のエンディングの無言劇に委ねられているところだった。



さらに言えば、じい、とロゴスのエピソードは、完全な欠落で、省略の許されないエピソードを曖昧な映像と台詞で語らせてしまっている。



あまりにもドラマツルギーとして不完全な作品と言わざるをえないだろう。





しかしそれでもこの監督の作品が皆を惹きつけるのは、人間の表情をまるでナイフのように尖らせて僕らの心情の柔らかいところに届かせる場面作りの上手さだ。



落下の恐怖の表現は、この映画の真のハイライトで、エイジが落下の恐怖を感じる時、観客席にもまったく等質の恐怖が染みだしていただろう。

実に見事な演出だった。




それと<お父さんの乗り物>の中で、ゴンドラが動いて、はじめてお互いの顔を<識る>シーン。




いいよねえ。

とてもいい。



もう本当にこの演出の腕がもったいないので、力のある脚本家の作品で、吉浦演出を思う存分楽しんでみたいものです。


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