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『アルドノア・ゼロ』:論考~人類の知性を試す「もうひとつの方舟」 [タイトル:ア行]

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虚淵玄脚本作品「アルドノア・ゼロ」を通巻視聴。



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虚淵玄の描く未来は、いつもディストピアである。

今回は地球から移民した火星にディストピアを描いた。



地球人科学者が、すでに死滅した古代火星文明の残した謎のエネルギー「アルドノア」を発見。これを使い火星に地球から独立した王朝を建てるというお話である。

しかし火星には水も空気もない。当然豊かな生態系は生まれず、科学的に合成できる資材だけで生きていくことになる。

限られた資源で生きていくとき、必然的に社会には「格差」が必要となる。

その格差の源泉を「アルドノア起動権」に求める社会主義国家が火星ヴァース帝国である。



資源に窮する国家の常として、新しい豊かな領土がそこにあれば、それを奪おうとする者が現れる。

それが母星地球であればなおのこと。

自分らが持たぬ豊かな資源を浪費し、母星地球を滅ぼしかねないとの大義名分をも得て戦争ははじまる。



ギリシャ文明の昔から、ローマ帝国がそれをヨーロッパ全土に拡げていく最もプリミティブな戦争の原型がここにある。

二度の世界大戦を経て、そのあまりの不毛さ故に不戦の誓いを建てたはずの現代社会もすでにいくつかの戦争を体験し、今もおおきな綻びをいくつか抱えている。



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何千年もの戦争の歴史でも、人は戦いのたびにその不毛さを学んでいたはずだ。

ではなぜ戦いは繰り返されるのか。



アルドノア・ゼロで、大きな戦争の引き金を引くことになってしまう心優しい少年スレイン・トロイヤードは戦争が起こる原因についてこう言う。






「(戦争は国家間の交渉の一形態に見えるが、実は)戦う相手がそこにいるから起こるのです」と、二つの集団があればそこに必ず戦いは起こると言い、

「だから侵略してひとつになるか、相手を滅ぼして消してしまう」しかないと結論している。

地球と火星を統合した新王朝を構想した所以である。






そして現実をみれば確かに世界史はそのように動いてきた。

現在の日本の政治状況において、話し合いなんかで紛争は解決できず、故に武力こそが戦争を抑止する唯一の力であると信じるものは、だから「現実的」なのだと言える。

しかしながらその「現実」のひそみに倣えば、結局戦いは起こる、ということになるのではないか。



アルドノア・ゼロの物語では、ジョン・レノン的理想主義な平和を唱える姫君アセイラムは、その「現実」に楔をうち、平和への道を拓く。






しかし、物語はそもそもアニメ界隈で「前日譚」を意味する「ゼロ」を冠されている。

物語の最後に地球と火星の平和の証としてセットされたものが「アルドノア・ワン」であることを考えると、やはり平和は恒久的なものではなく、そこにアルドノアの力があるかぎり、新しい紛争が起こることを示唆している、と僕は読んだ。



アルドノアという語そのものが、alt-noah、つまりanother noah=もうひとつのノアの方舟を意味していたのではないか。

神の怒りにふれた人類のリセット

選ばれし者を載せる船。

人の手に余る大きなエネルギーが、その引き金になりうるのだという教訓だとすれば、これもまたわかっていながら逃れらぬ人類の軛なのかもしれない。

しかし、本当に我々はそんなに愚かなのだろうか。


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