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書割の共闘と封じられた波動砲~宇宙戦艦ヤマト2199 星巡る方舟 [タイトル:ア行]

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「宇宙戦艦ヤマト2199 星巡る方舟」のDVDがレンタルに出ていたので借りてきた。

ガトランティス軍が登場するこの作品で一応2199シリーズは完結ということになる。



この「星巡る方舟」編は原作での、ヤマトの帰路、生きていたデスラー総統と砲火を交える最後の死闘のエピソードを「改変」したものと言えるだろう。



2199シリーズはいくつかの重大な改変を施しているが、本劇場版では、ほろ苦いラストへの伏線的役割を果たした旧エピソードを独立させてまったく別の役割を担わせている。



作品内では、イスカンダルからの帰路、戦争の終結した地球とガミラスに残る確執を超え、両軍が共闘する姿が描かれる。

共通の敵(=ガトランティス)を得ることで乗り越えた確執ではあるが、いかにもなドラマ仕立てに描かれたその相互理解への道筋を我々は嗤うことができないだろう。

第二次大戦終結後、現実に日本とアメリカがやってきたことはもっと直截だった。



占領者と非占領者は、あるときは密約を以って、ある時はあからさまな誅殺でもって、よき宗主国と従順な属国であることを演じ続け、いつかそれは演技ではなくなった。



友人でミステリー作家の大森滋樹氏は、新聞に寄せたコラムで、戦後のGHQにおけるG2(参謀第二部)とGS(民生局)の内部抗争の権勢推移が、日本の占領施策に大きく影響してある種の「二面性」を見せることを、二連星イスカンダル・ガミラスへの比喩として論を展開してみせた。



G2が先導した日本国憲法、財閥解体、農地改革という民主化政策は、共産主義の台頭とその結果としての朝鮮戦争を機に主導権を手にしたGSによって簡単に方針転換され、追放したはずの戦犯を復帰させ、新憲法によって軍備放棄した日本に警察予備隊という「軍隊」までも新設するという二面性を。

近年アメリカの要望で、憲法を素直に読めば容認しがたい集団的自衛権の行使を要求されたことも、この方針転換の延長線上にあり、むしろ必然的な流れと言える。


もう一つの重大な改変も、この事案に関わっている。
イスカンダルでの唐突な波動砲の封印作業である。


ヤマトでの波動エンジンは核エネルギーのメタファーで、イスカンダル・ガミラスが開発した波動エンジンを武器に転用した波動砲は原子爆弾のメタファーなのだとして、日米関係の歴史的な背景を考え合わせると、コスモクリーナー搭載時にイスカンダルの手によってこれが封印されたことは、こういった歴史に対してのある種の皮肉だと考えられる。

物語のどこにも、ヤマトの主体的選択というものはないのだ。

作戦の見事さで胸のすくような快進撃を進めるが、常に条件は外部から与えられる。

しかし彼らの闘いの帰趨を見れば、政治的条件がどのように与えられようと、どのように生きたか、ということに影響は与えられないとも考えられる。

その意味で、物語中何度も繰り返される「希望」という言葉は、確かにこの映画のテーマであった、と言えるようだ。

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